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『図書館革命』『別冊図書館戦争Ⅰ』有川浩

数日前、待ちに待っていた『図書館革命』がやってきました。
そしてのその日のうちに完読(笑)
私が思っていたものとはまったく違って、ハラハラドキドキ、やめられない止まらないサスペンス小説で、読んでいる時に
「いったい何のサスペンスなのよ~」と心の中で叫んでいました。
そして、「図書館シリーズはライトノベル」と軽く考えていた私は思わず、
「私が間違っていました教官!」と敬礼付きで頭を下げるところでした(爆)

幾つかの事件を追うのではなく、ひとつの事件の顛末を丁寧に描いた本なんですが、登場人物が生き生きと描かれており、主人公と一緒にドキドキしながら読みました。
1作目の『図書館戦争』はかなり内容も読みやすく、アニメと雰囲気がほとんど変わらなかったのですが、4作目で本編最後の『図書館革命』は、内容もあって一級のサスペンス小説となっており(あくまで私の主観です)、かなり練り上げられた作品だと感じました。

メディアの検閲権のあるメディア良化委員会と、それに対抗して図書を守る為に生まれた図書隊の世界を、図書隊の活躍を通して描いた近未来小説で、アニメと原作『図書館戦争』を読んだ後は最初はその設定にかなり違和感があったんですが、(2,3作目を読んでいないにもかかわらず)この『図書館革命』を読んだ後には、違和感どころか、今の時代が実は空恐ろしい時代の前触れかも、と戦慄しました。

最近の日本のニュースを見ると、今の日本は私の知っている日本とは別の国じゃないかと感じる事が多いです。通り魔殺人や幼児殺人など、昔はほとんど無かった事件が立て続けに起きていますね。
昔と今の違いで一番大きいものは、PC、携帯などのコミュニケーション手段の多様化と共に、ゲームなどの娯楽の多様化、社会が複雑になり過ぎた等があるかなと思います。子供を持つ親としては、やはり子供が接する物には気を付けざるをえないです。

実は韓国においては、先日のアメリカ産牛肉デモ騒ぎの時に、小学校で先生から狂牛病の恐ろしさを語るTVを見せられた女児が情緒不安定になったとかいう問題があって、そのせいなのか、今日も息子から、新しく赴任してきた担任が、教室に学級図書として置いてある本の中にある、不適当と思われる怪談本を処分したという話を聞いて、”どこのメディア良化委員会だ”と苦笑しました。

そういう中、この本では今の時代の出来事を思い起こさせる内容もあって、近未来のフィクションと、他人事のように感じる事が出来なくなりました。猟奇的な事件が起きれば、その事件の参考書にさせられたメディアの所為にしたくなる気持ちも持ちますし、どう考えても子供に不適当と考えられる作品に関しては神経を尖らせるしかありません。(特に子供のいる親は)
だから、個人の信条や表現する権利を侵すつもりはなくても、(一部の)『善意の人々』に迎合してしまう可能性もあります。

私のいる韓国は、一般の人々よりもメディアの方が偏っています。公平な報道や、正義の告発などあまり行われませんし、国民がそれを望んでいるとも思えません。そして、個人の信条を自由に表現する権利を尊重するという大前提がほとんど無いんです。国民の情緒に反する発言をすれば、表現の自由よりも国民の情緒という、具体的でない物が優先されます。
だから、私はこの作品を、韓国の若い人はどう見ているのだろうかと思います。(『図書館戦争』は韓国語に翻訳されています)やっぱり「完全にキャラ読み」なんでしょうか?(苦笑)

私は正義とか正論とか言う言葉が大好きなのですが、韓国ではそういう雰囲気の欠片も感じられないので、この小説で原則や正論、その時の最善を目指す姿が、非常に新鮮でした。
「原則は状況に左右されない」なんていう言葉は、まさに目からうろこ。原則や法よりも感情や状況が優先される論調ばかり見せられている私には、この小説の世界は眩しいばかりです。

ほんの数か月前、こことは別のブログ上である人と自分の正論を振りかざしてやり合ったことのある私は、幸いお互いに理解し合って和解をしたつもりでしたが、その方法が本当に正しかったのかと、恥ずかしくなったりします。

兎に角、ただの軽いライトノベルと甘く見ていた私は、この作品の深さに驚愕したのです。




『図書館革命』を読んで我慢しきれなくなった私は、とうとう2次創作サイトに手を出してしまいました(大爆)(なぜ、原作の『図書館危機』や『図書館内乱』を読まないのかとは言わないでください。注文しても10日以上待たなければならないので、とても待ち切れません)

2,3の2次創作サイトで大体の雰囲気をつかんだ後『別冊Ⅰ』が来ました(実は今日ー笑)
当然一気読みしたのですが、”大人の事情”で書かれたこの本は、正直言うと2次創作サイトとほとんど変わりませんでした(爆)

読み終わった後、ある程度納得し、満足感を得ましたので、『別冊Ⅱ』を読むかどうかは今わかりません。ただし、、最後の事件で描かれていた小説家のインタビュー記事を読んで、有川浩という作家は食えない奴かも、と思いましたので、本編を読み終わった後に読むかもしれません。

私は『図書館革命』のあの緊張感が良かったので、『別冊Ⅰ』のガラッと変わってしまった甘甘な堂上教官は確かに微笑ましいのですが、もっと緊張感が欲しい、と思ってしまうのです。(作家本人も大人の事情で書いてますから、私の感想を読んでも怒らないと思うし・・・・^^;)
甘甘なキスシーンよりも、「革命」のコンテナの中の車で手を握るシーンの方が、私にはドキドキものでしたし、私はやっぱり、厳しい堂上教官が好きですね。
本編の2作目と3作目が残っていますが、とりあえず落ち着きましたので、がつがつしないで読もうと思います(笑)

ところで、1作目と4作目だけを読んでこんなにいろいろと感じた私は、読書に関しては堂上教官と話が合うかもしれません。
でも、郁ちゃんに、その席どいて、と思う私は、やっぱり完全にキャラ読みでしょうか?(笑)
by ayamama-de2 | 2008-09-25 17:08 |